One Octave

目指すは「unique」な音色。大切なのは日常。                                               

救世主

6年前と2年前に―。
その時に私が感じ、かけた言葉や起こした行動。
それは、ほんの小さな事柄だったと思う。

それが今日、私に返ってきた。
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感動し、心を貰った。
彼女の言葉や笑顔、強い願いや希望は、私にパワーをくれた。

「助産師冥利」に尽きることです。







勤務中、病棟外に出る用事があり帰ってきたところ。
見覚えのある女性が、ホールで誰かを待っている様子だった。
その女性は、私の顔を見るなりパッと笑顔になった。

その笑顔を見た瞬間、私を待ってくれていたのだと直感した。
「憶えてくれてるんですか?」 彼女は、とても嬉しそうに微笑んだ。

6年前、彼女はとても哀しんでいた。心痛む時間を過ごした。
ずっとそばで、手を握ることしかできなかった。

2年前、彼女は赤ん坊を抱いていた。
6年前に関わらせていただいたことは、云わないでおいた。
幸せなひと時だったけど、彼女は頑張りすぎで疲れ果てていた。
彼女の背中をポンポンとさすり、「今まで、お疲れさまです。」と声をかけた。

私には、詳細な記憶はなかった。
彼女が、私の言動を鮮明に記憶し、ひとつ一つ教えてくれた。

彼女は、4回命が授かった。今、2歳になったお子さんが居る。
今日で一旦、定期的な診察が終わった。
先生からは、専門的な病院の紹介や検査治療も提案されたらしい。
その日に、わざわざ遠い病棟まで足を運んでくれた。
救世主_b0088089_22324758.jpg
彼女は私に、こう云った。
「今日診察が終わって、自分でも忘れてた記憶がどんどん蘇ってきた。」
「あの日、ずっと黙って手を握ってくれてたのは、Ziziさんじゃないですか?」
「部屋で背中をさすってくれたのもZiziさん。」
「声や話し方を思い出して、6年前に居てくれたのもZiziさんだったんだと思った。」
「きょうだいを作ってあげたい。何とか授かって、またZiziさんの居るここで産みたい。」
「Ziziさんがもしここに居なくなっても、私が会いに行きます。」

確かに自分が放った言葉や行動だけど、自分で納得できる看護ではなかった。
何気ない事柄だった。
その時に感じた、精一杯の思いだけだった。

日々落ち込むことはあるけれど、前を向いて仕事しよう。
そういう小さな自信を、彼女は運んでくれた。
by black-dolphin | 2011-06-27 22:32 | 和の話

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