目指すのは「unique」な音。 大切なのは、日常。                                               
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シンメトリー

小さな頃から絵を描くことは大好きだったけれど、私には絵を描くセンスや能力なんて
全くないものだと自分で感じていました。

中学に入学した年の担任は、美術の先生でした。
文化祭の大道具の背景を急遽担当させられたり、
何かというと授業以外のコンクール出展を促されたり、
毎週の課題であるデッサン(人物)の指摘が何だか手厳しかったり、

思春期真っ只中の私には、「私、もしかして嫌われてる?」という心配も。

「文化祭に向けて、体育館の外壁前面くらいの○○を造ろうと思う。」
ノルマは「学年の生徒全員、色塗り一枚ずつ。」
そんなやり取りがあったように記憶しています。

「先生が何かをまた面倒くさいことを企んでいる・・・美術教師は暇なんやな・・・。」
その頃は部活などに気持ちが傾いてしまい、先生とのコミュニケーションは
随分と希薄なものになっていました。

文化祭も差し迫ったある日のこと。
生き生きとして作業に熱中する先生を、私は達観していました。
しばらくすると彼がゆっくりとこちらへ歩いてきて、下駄箱の階段下で
おもむろに私に黒い布を手渡しました。
それは意味不明な白ラインが引かれた、見覚えのある30cm×30cm四方の黒い布。
「ここはこのグレー、ここはこのグレー・・・・塗って。」と一言。
「もう私、塗りましたよ。」
「まだまだ足りへんから、手伝って。」
「・・・・・・。」
また始まった、と私は思いました。

色塗りが完成して、今度はそれを一つ一つ縫い合わせる作業に入りました。

線が、色が、どんどん重なり合って、紡がれていく。
体育館の外壁いっぱいに掲げたその作品は、とても強い存在感があった。
b0088089_27874.jpg

いつかの授業で習った、ピカソの「GUERNICA:ゲルニカ」
遠く昔に彼が描いた世界や強い想いが、その瞬間伝わってきた気がしました。

芸術の力を、生まれて初めて肌で感じた瞬間でした。
先生の無言の教えに、唖然ともしました。

b0088089_2125241.jpg

中学を卒業した年の担任は、またあの美術の先生でした。
もちろんその年も、錯覚のような風景が何度もありました。
(えぇ、それは手厳しいチェックの嵐です。)
でも私はもう、あの頃のような心配はしませんでした。

「あぁそうか―。先生はきっと私の本質に気付いていたんだ。
私が絵を描いたり、色を塗ったり、何かを造ることが好きなことを見抜いていたんだ。」

こんなお手本のような遠近風景を見ると、一番褒めてくれた「シンメトリーの空間図形」を
ふと想い出されます。
by black-dolphin | 2008-03-22 02:16 | 和の話
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