目指すのは「unique」な音。 大切なのは、日常。                                               
by black-dolphin
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同じ夜

出産に立ち会うことは、助産師にとってやはり特別な時間だ。

奇跡の生命を宿し、約10ヶ月間お腹の中で育む女性たち。
私にとってはそれだけでもう神秘的な存在で、でもそこに現実として居るのだ。

彼女と過ごしたあの日、私はもう一つ大切な時間を過ごしていた。
生きる姿を、違う側面で私に見せてくれた。

夜勤が始まって二時間くらい経った時、彼女は陣痛が始まり来院した。
初産で、世間一般では「高齢初産婦」さんだった。

私たち病棟助産師は、お産で来院される時に産婦さんと初めて会うことになる。
彼女とも例外なく、その時が始めての対面となった。

私はできる限り安心してもらえるよう、初めての会話に気持ちを集中させる。
二つの尊い命によくないことが起こっていないか、起こりそうにないかアセスメントする。
みつめて、耳を傾けて、触れて、感じて、もちろん胎児とも会話をする。

その姿を見て、その女性は何とも云えない表情をして一言。
今日が〇さんの担当で良かったです。
若いのに・・・助産師さんが、きっと天職なんですね。


出逢って数分後なのに、私の存在を受け入れてくれたことが嬉しかった。
こちらこそ、こんな若造に大切な命を預けてくれて感謝しますと答えた。

そうこうしている内に陣痛は強くなり、腰をさする私の手も自然と強くなる。
大きく膨らみ、硬くなったお腹に触れながら。

産婦さんは見えないゴールに不安を持ち、一緒に居て欲しい気持ちを表現する。
私にとっては少し見えるゴールに眼を凝らして、彼女にこっちだよと手を叩く。

他の病室からナースコールが鳴り、もう一人精一杯頑張る彼女の元へ向かう。

大きく膨らみ、硬くなったお腹に触れる。
さっきまで触れていたお腹を思い出し、既視感のような感覚を覚える。
b0088089_2021445.jpg

同じ日の、同じ時間、同じ場所で、それぞれの「生命といのち」を見た気がした。




産婦さんとご主人の希望もあり、もちろん私の希望もあり
昼前まで付き添い、無事出産に立ち会うことができた。

産声は、生まれて初めての呼吸。
この声は、何とも云えず響き渡る。

母親の胸元へと運ぶまでの数分間、私は本当に幸福感に満たされる。
何度経験しても、これはいつも新鮮な気持ちになれる。

後産が終わって、ようやく少し緊張から解き放たれる。

この世の色んなことに、色んな人に、思いがぐるりと廻る。
by black-dolphin | 2009-06-19 20:21 | 和の話
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